もしも明日もあったなら。

*

…やばい。心臓が、心臓がうるさい。
教室を出るとき、実陽は『頑張れ』と口パクで言ってきた。

…頑張りたいけど頑張れねぇよ…

今、俺はゆかりと二人で教室を抜け出して、屋上前の階段にいる。
もちろん目的は告白するためだが。


…あれ、告白ってこんな緊張するっけ。冷や汗が止まらないんだっけ。こんな頭真っ白になって何も考えれないんだっけ。

…いつもより、相手が可愛く見えるんだっけ…?

今まで、俺と、ゆかりと、実陽と、弥生と、駿と……そんな面子で楽しくやってたんだよな、
もしダメだったら、いや、伝わらなくても今まで通り話せるよな。

いや、ネガティブに考えんな。

成功させて次は実陽が成功する番だからな。
俺が一歩先に、踏み出しただけだ。
ほら、隼人、実陽に見本みせろ。
胸張って報告出来るように。

「あのな、ゆかり。俺、お前に言わなきゃいけないことがあって」

掠れた声を絞り出す。

「えー、なに?謝罪?」

そういってゆかりは笑う。

「あのな」

やばい。泣きそうだ。
泣くな。泣くな泣くな泣くな!


伝われ。

「ゆかり、俺、お前が…ずっと前から好きだった。付き合ってく…ださい」

ゆかりの顔が見たくなくて、お辞儀してるような姿勢のまま固まった。

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