もしも明日もあったなら。

それでもやっぱり時間というのは残酷なわけで。
受験生の私達にとっては長いような短い一日が過ぎるのは恐ろしく早い。

それでも、好きな人が近くにいて、授業を受けたり勉強することは、わりと励みをもらっているのかもしれない。

この前そう思ったけど、苦笑が溢れるだけだった。



「実陽ー、高校、どうすんの」

授業が終わってぐてっとしていると、弥生が喋りかけてきた。

…高校。

「うーん、私は家から近いとこにするよ?」

「ってことはあそこか。実陽ん家から15分くらいの」

「あ、そうだよ!」

弥生は?とさりげなく聞いてしまった。

「俺はココ」

トントン、と指で指す。

…遠い。

「いや、実陽とも離れちゃうのか、何か寂しいな。お前がいないと」


…え、どういうつもりで言ったの……?

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