もしも明日もあったなら。



「…遅い、遅すぎる。」

私は授業が終わってもいまだ来ない実陽に違和感を覚えていた。
実陽がサボるなんてありえない、
それだけならまだしも、美雪について行ったあと帰ってこないから余計心配になる。

なにかあったんではないか。
また前みたいに酷い事言われて泣いてしまって動けずにいるのではないか。

そんなネガティブな考えをしてしまい、益々落ち込んでいく。

探し回りたいが、私一人では時間が足りない。
でもやっぱり行かなきゃ。

そう思い、机を立つ。


その時、

「なぁ、実陽しらね?」

と橋本が喋りかけてきた。
実陽がいないこんな時に思うのもアレだが、橋本に女子関係のことを聞かれると思わなかった。
これはもしかしてチャンスあるのではないかと密かに思う。

「いや、戻ってこないから今から探しに行こうと思って」

「あと五分でチャイム鳴るよ?」

「でも美雪に呼ばれた後ずっと帰ってこないとか心配すぎるから」

じゃあ、といって行こうとした時、

「まって」

と呼びとめられた。


「おれが行く」

< 159 / 163 >

この作品をシェア

pagetop