もしも明日もあったなら。

「ついたっ…けど、やっぱりいないねー」

「だろうね。今隼人から『いつものとこなかった。遅れる』って来た」

「夏だしね~…」

と、その言葉を最後に沈黙が流れた。
気まずい。とても気まずい。

なんか話さなきゃかな……
と考えていたら、橋本君が口を開いた。

「ねぇ、アイツらとはどういう関係なの?」

「アイツ…ら?」

「隼人達」

「あ、あぁ!ゆかりは今年になってから凄く仲良くなった親友。隼人は小学校から一緒で、駿は1,2年生で委員会が一緒だったんだよ」

「そうなんだ。だから隼人とぺこは下の名前なんだな」

「うん、そうだけど…それがどうかしたかな?」

「なんかおれだけ疎外感……」

としょんぼりした顔をした。
かっ…可愛い…っ!!

「そ、それは…勝手に下の名前で呼んだら悪いし…君づけが定着してたから…」

なんか言い訳っぽい。

「じゃあ、今からおれのことは下の名前で呼ぶこと!」

「!?」

「約束!いいだろ、別に」

「え、うん…!」

むしろ願ったり叶ったりですが。

「じゃあおれも下の名前で呼ぶわ!」

「い、いいの!?」

「?おう!」

と笑顔で返してくれた。
神様、私の運はここで使いきったんですか?
せっかくここまで来たのでもう少し生きたいです。

「よ、よろしくね…!“弥生”」

「おう!“実陽”!」

ねぇ、私は君に。
少し、少し“弥生”に近づけましたか?

< 50 / 163 >

この作品をシェア

pagetop