もしも明日もあったなら。

白石さんは慌てて私の胸倉を離した。
そのせいで私は床に落ちてしまった。

「いった…」

思いっきり床にたたきつけられた感じだった。

「憲由君、どうしたのぉ?」

自分を繕い始めた白石さん。
でもどう考えたって遅いと思う。

「気持ち悪い声で俺の名前を呼ぶな。もう俺はお前と別れたはずだ」

「そ、そんな怖い目で見ないでよぉ…!」

何でわからないんだろう。

そんな白石さんに呆れたのか、急に憲由は私の方を向いて話しかけてきた。

「おい、花咲。お前こいつに胸倉つかまれて暴言めっちゃ吐かれてたよな」

白石さんはその質問を聞いた瞬間に私を睨みつけてきた。
多分、否定しろって事だと思うけど…

「うん、そうです」

「実陽ちゃん…?」

白石さんが冷たい声で言ってきたけど気にしなかった。
ゆかりに前言われていたから。『美雪に絡まれたらまともに相手しちゃだめ』って。
それを守っただけの事。

「だってよ白石。俺と言う目撃者もいて、ここに被害者本人もいるのにまだ隠し続けるか?」

「くっ…!花咲!あんた後悔するから」

と吐き捨ててまたもや走り去った。


「はぁぁあ…こ、怖かった…」

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫。ありがとう!」

「これからも何か絡まれるかもしれないが、一人で行かない方がいい。」

「そうだね…」

私はふと思った疑問を口にした。

「なんであまり関わってないのに助けてくれたの?」
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