もしも明日もあったなら。

作業開始から早10分…
私は既に半分書いて飽きていた。

「ゆかりめっちゃ見やすい…」

さすがだなぁ、と感心してると、

ガタンッ

と正面から音がした。
ノートから顔を離し、前を見ると、弥生が座っていた。

近い…ッ!

「なにやってんの?」

「あ、あぁ…えっと、さっきの理科1写してるんだ!」

出来るだけ笑顔で返した。

「え?ノート取ってなかったの?」

「うん、考え事してて…」

あはは、と付けたし笑ってごまかした。
すると弥生がゆかりのノートを見て、

「やっぱあいつ字キレイだよなー…」

と呟いた。
その瞬間胸がギューッと締め付けられた気分だった。

「そうだよね…」

と答えることが私の精一杯だった。


認めたくなかった。でも、
考えたくなかった。でも、
知りたくなかった。でも、
わからなきゃ良かった…でも…

多分、弥生の好きな人はゆかりであっていると思う。
そう考えると頭がぐるぐるしてなんも考えられない。

本当にそうだった時、私は心の底から祝えるか自信がなかった。
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