もしも明日もあったなら。
昼休みもあと五分くらいっていうところで、ゆかりが帰ってきた。
「ゆかりおかえり~」
「あああ、実陽遅くなってごめんね…榊に捕まってたのよ…」
「あー、大丈夫?」
「今はもう平気!」
キリッとするゆかり。
本当に大丈夫そうだ。
「ねー実陽ー」
「なに?」
次の授業のために私は準備をしていた。
「いつ橋本に告白するのー?」
「え!?」
さりげなく会話にしたから動揺してしまった。
「だって実陽さー、好きになってからもう半年くらいだよ?そろそろいいんじゃないかなー」
ゆかりはニヤニヤしながら言ってくる。楽しみたいだけでしょ。
「俺もそう思う」
「あ、バカ隼人」
「バカは余計だ」
声の正体は隼人だった。
いつの間にか自分の席にいたらしい。
「隼人まで何言ってんの」
「いや、実陽。いいのか?弥生意外にモテるから取られちまうぞ」
『意外に』っていうのはひどいような…。
確かにモテる。私のモノではないけど、取られてしまうのは嫌だ。
でも…ゆかりが誰が好きなのかわからないから下手に動けない。
もし弥生が好きだった時に私はきっと譲ってしまう。だって勝ち目がないから。
私はあくまでも親友としてゆかりを応援してしまう。
「で、どうするの、実陽」
「早く決めろよー」
「ま、まだ考えるっ!!」
と言って顔を机に伏せる。
「あ、また逃げたな!」
しばらくは逃げたいんです。
もし、弥生の気持ちがわかったら…簡単なのにな。
技術家庭科の班が同じ。体育の選択したのが同じ。
そんな少しの嬉しいのが積み重なっちゃって重いんです。