心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「次、これかけてよ」

俺はアル・クーパーのアルバムを、純一に差し出した。

純一の中にある流れを遮断する行為だが、

いつものことだ。

俺が来たことで、覚悟はしていただろう。


「好きだな…」

純一は苦笑すると、アルバムを開け、CDを取り出した。

「まあな」

俺は、音が流れるを待つ。

CDがデッキにセットされた。

流れるようなイントロが、学校中に響く。

俺の心は弾み、自然と鼻歌を口ずさんでしまう。

「よく飽きないな」

そんな俺を見て、純一は感心した。

「飽きるかよ。名曲は何回聴いても飽きない。それに、お前がこの曲をかけなかったら、俺は…ここにはいなかったからな」
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