心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「あとは…ライブ本番か」

最近は、何時に終わるかわからないから、片桐には先に帰るように言っていた。

携帯を持っていれば、連絡できるのだけど…まだ持つ気はないらしい。


だから、俺は…。



自転車乗り場に向かい、自分の自転車を引っ張りだすと、裏口から飛び出した。

急いで自転車をこぐと、俺は片桐の家を目指す。



片桐のアパートの前に自転車を止めると、彼女の部屋をノックした。


「はい」

着替えた片桐がドアを開け、顔を出す。

俺は手短に、今日の練習の成果を伝えると、

頭を下げ、自転車へと戻った。
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