心の裏側と素肌の境界線を越える為に
天へと昇天するような温かい光を感じながら、演奏は終わった。

俺は思わず、天井を見た。

何かが天へ浄化されたように感じた。


温かい拍手が、視聴覚室を包んだ。



そんな中、ドラムセットの中で、1人…嗚咽する美佳に近づき、

俺は言った。


「ありがとう」



だけど…顔を伏せ、泣く美佳はこたえなかった。


「美佳…」


スタンディングオペレーションとなった視聴覚室は、拍手が鳴り止まない。

俺はもう一度、ステージの前に行き、頭を下げた。
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