心の裏側と素肌の境界線を越える為に
というよりも、

片桐のそばに近寄ると、

クラスの女子なんて、ガキに見えるのだ。

冷たいとかではなく、やたら落ち着き、大人の雰囲気を醸し出していた。

だからと言って、無口という訳でなく、

話しかけると結構気さくにこたえてくれる。

頭がいいので、授業でわからないところをきくと、

嫌な顔をせずに、教えてくれる。


つまり…別格なのだ。


そんな別格の片桐をしばらく見つめてしまった…俺。

さすがに、片桐も妙な視線を感じたのか…顔を上げた。

俺と目が合う。

「あっ…よお」

片手をあげて、気さくに挨拶してみた。

少し驚いたような顔を、俺に向けた後、

片桐は視線を本に戻した。
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