心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「お前って、やつは!」

美佳に腕を取られ、廊下を引きずられるように外に連れ出された俺。

帰る正門からは、遠ざかっている。

「離せよ!」

俺は、美佳の手を振りほどいた。

「お前が、あんな年増を好きだなんて知らなかったぜ」

美佳は、無理矢理ほどかれた手を見てから、俺を睨むと背を向けた。

「年増?」

俺は…怒ったような様子の美佳の背中に、首を捻った。

「し、知らなかったのか?」

美佳は思わず振り返り、驚いた顔を向けた。

「?」

「へえ〜」

美佳はいやらしい顔をすると、また俺に背を向け、

「みんな…口にはしてないけど、有名だよ。本当は、一つ年上だと」
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