一週間、魔法使いになります。
「ミミさん、魔女だったんだ」



 手に握られたホウキをまじまじと見つめ、折角の機会だからと手で触れた。



 あたしが呟いた言葉にミミさんは口をへの字にさせる。




「魔女じゃなくて魔法使いですー」


「どっちも同じようなものじゃん。なにが違うの?」



「イメージ的に魔女はお婆さんで悪者で、嫌なイメージばっかじゃないですか。雰囲気も着てる服装も暗いし……。

 だから魔法使いでお願いしますよ?」


 
 なにそれ……。
 いい魔女もいるよ。猫連れた黒いワンピースのあの娘(コ)とか。


 言おうと思ったけど、面倒くさくなりそうなのであえて口を噤(ツグ)んだ。



 ミミさんがさっき出した竹箒(ボウキ)に跨(マタガ)った。



「じゃあ乗ってください。あの、結構時間もない感じなので……」



 あ、あたしのせい? 質問を沢山してしまった、あたしのせいなの?

 何回も言うけどこれは普通の対応だってば……。



 なんだかズレているミミさんに、困ったように笑みを零してうん、と返事し細い箒の柄に跨る。

 

 わ、なんか不安定……。落ちそうなんだけど。これ、大丈夫なの?


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