一週間、魔法使いになります。
「そんなことはどうでもいいの。
柚葉ちゃんが一番気になっていると思う、ここへ呼んだ理由……それはね」
まるでクイズの答えを発表するかのように少しの間を開け、優雅に紅茶を一口啜(スス)った。
それの効果もあるのか、緊張してごくりと唾を飲み込む。
あたしを連れてきた理由……それは一体、なに?
女王さまの赤い唇から飛び出した言葉に、あたしはとてつもないほどびっくりすることになる。
「……ここ、ルビーの城のプリンセスになって欲しいの!」
え、え、え、ええええええぇぇ!?
そ、そんなお願いのポーズで見つめられてもっ!
確かに美人のお願いポーズは効力激アリですけど……! じゃなくって!
あたしは慌てて胸の前で手を何度も振る。
「ムリムリムリムリっ! あたしなんかに無理です! あたし、人間だし……っ」
あたしにプリンセスなんて柄のないことできるわけがない。
どちらかっていうと野山で走り回ってるほうがしっくりくるのでは……?
全力で、とりあえず理由を言って拒否するも、女王さまにゆっくり首を振られてしまった。