一週間、魔法使いになります。
「アイフルは人間界で言うテレビ電話のような物です。ですが少しテレビ電話とは異って、3Dホログラムで立体的に見ることができます」
……ふ、ふーん……。
あまりイメージが湧かなかったけど、とりあえず分かったように何度か頷いた。
女王さまもミミさんの意見を聞き、あたしとは違い一回だけ首を縦に振る。
「そうですね。ミミの言う通りアイフルを使った方がいいでしょう。……アイフルを一台お願い。
――――じゃあそろそろミミ、柚葉ちゃんを送ってってあげて。気を付けるのよ」
女王さまがアイフルを使用すると知ったメイドさん達は、ほっとした様子で元の場所に戻ったり、この部屋を急いた様子で出て行ったりしていた。
ミミさんの表情がぱあっと明るくなり、その場で礼をする。
「ありがたき幸せです。おまかせ下さい!」
どうやら、ミミさんは女王さまをかなり慕っているよう……。凄い嬉しそうな顔だよ。
あたしが帰ろうと、部屋の出口に体を向けた時。
「お待たせしました」と、一人のメイドさんが女王さまに差し出したのは小さな焦げ茶の箱。
女王さまがお礼を言い受け取ると、彼女は小さくお辞儀をしてから部屋の後ろの小さな列に加わった。
箱を開けて中の物を手に取ると、赤い髪をなびかせながら目の前にやって来てあたしの手に半ば強引に握らせる。
あたしの手の中にあったものは、手の平サイズの水晶だった。そこまで重くはないけどそれなりの重さはある。
え、こんな大きなガラス玉なんて見たことない……。
見たことがあるとすれば、絵だけど占い師が持ってる大きな水晶。
あれ以外はビー玉くらいしかないよね。