一週間、魔法使いになります。
☆プリンセスになる?
「……さま! ……さま﹏﹏! 柚葉さまっ!」
声に驚いて、飛び上がると同時に瞼(マブタ)を開ける。
……あれ、ここは……。
すっかり視界は暗くなり、マンションの階段の間あいだから見える白く光る街灯は、闇の世界の道標のようだ。
辺りを見渡すと見慣れたあたしんちのご近所さんち。そして、明かりの灯るあたしの家。
明かりの……灯る……!?
やばい、ママ帰って来ちゃってる。説教は決定事項となってしまった。
慌てて立上がり、家の前でマンション特有の門を見つめる。
うぅ、家の中に入るのが怖い……。どうしよう。
自分の家の前で頭を抱え、苦悩していると背後から悲痛な少女の声。
「柚葉さまぁ、存在を無視しないで下さいぃ……」
はっ。ミミさんのこと忘れてたよ……っていうか。
「ごめんねミミさん。それより、あたしの記憶が空飛んでる途中から無いんだけど……」
「ひ、酷い……。でもまぁ、もういいです。
それに関してはすいません……。魔法界と人間界を繋ぐ場所があるのですが、知られると色々とマズイので意識を失って頂きました」
な、そうだったの!?
じゃあ行きのあたしの気絶はミミさんの仕業? それともあたしが勝手になっただけで、手間が省けてラッキーってとこなのかな。
でももう、いいや別に……。そっちにだって色々と都合ってもんがあるだろうし。仕方ない。