一週間、魔法使いになります。


 見れば、静かな怒りを宿していたはずのママの黒い瞳には、驚愕の色が浮かんでる。

 一点を見つめたまま動かない視線を辿ると、それはミミさんだった。


 彼女はあれ? といった困ったような笑みであたしを見つめてくる。

 ……いや、あたしだって意味分かんないし。


 
 ママは瞳を揺らしながら、ぽつりと呟いた。


「……その、服……っ」



 ミミさんがメイド服の胸元を摘(ツマ)む。


「……服? この、メイド服のことですか?」




 ミミさんの質問には答えずに問いかけを繰り出す。



「まさか、あなた……ルビーの城の使者……!?」


 
 ママの様子はまるで、それを恐れているかのようだった。

 ルビーの城って……女王さまのいた、あのお城のことだよね。そんなことを言っていた気もするし。


 義妹からの使いなのに、歓迎したりとか、しないの? 

 上手く行ってなかったのかな? その割には、女王さまは仲良さげな感じだったような……。
   
 ううう。もう、なにがなんだか分からなくなってきたよ。


< 34 / 47 >

この作品をシェア

pagetop