一週間、魔法使いになります。
見れば、静かな怒りを宿していたはずのママの黒い瞳には、驚愕の色が浮かんでる。
一点を見つめたまま動かない視線を辿ると、それはミミさんだった。
彼女はあれ? といった困ったような笑みであたしを見つめてくる。
……いや、あたしだって意味分かんないし。
ママは瞳を揺らしながら、ぽつりと呟いた。
「……その、服……っ」
ミミさんがメイド服の胸元を摘(ツマ)む。
「……服? この、メイド服のことですか?」
ミミさんの質問には答えずに問いかけを繰り出す。
「まさか、あなた……ルビーの城の使者……!?」
ママの様子はまるで、それを恐れているかのようだった。
ルビーの城って……女王さまのいた、あのお城のことだよね。そんなことを言っていた気もするし。
義妹からの使いなのに、歓迎したりとか、しないの?
上手く行ってなかったのかな? その割には、女王さまは仲良さげな感じだったような……。
ううう。もう、なにがなんだか分からなくなってきたよ。