一週間、魔法使いになります。



 っていうか……今、ママが呟いた『ドリア』は女王さまの名前? 多分、そうだよね。



 大人同士の話ということで、あたしとミミさんは耳を潜めて会話を聞く。

 けど、ママは首で二階を指して言った。


「柚、あんたは上に行ってて」



 え! うそー、話聞きたかったんだけどなぁ……。

 でも聞かれたくない話しだってあるだろうし、姉妹で話してるのを邪魔しちゃいけないなと思い、靴を脱いで廊下に足を下ろした時。



「いいのよ、柚葉ちゃん」



 あたしとママがえ? と思って女王さまの方を向くと、微笑を浮かべながら姉に言う。


「これは私と姉様と柚葉ちゃんの問題。いてもらわなきゃ、困るわ」



 ……いて、いいのかな?



 どうすればいいのかと、戸惑ったようにママと女王さまを見れば、「いて頂戴、柚葉ちゃん」と優しいのに有無を言わせない言葉であたしは足を止めた。

 
 そしてママと女王さまがちゃんと会話できるように、ママの横に立つ。


 
 ママが不服そうな表情で見つめていることに気づいているのか否か、女王さまは早速本題に、半ば無理矢理にして入った。




「今日使いを寄越したのは、相談事があるからなの。よく、聞いてね」




 妖艶に微笑んだ女王さまの赤い唇から、少し間を開けてから言葉が漏れる。

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