一週間、魔法使いになります。
「ドリア!!」
今まで存在感が全く無かったミミさんが慌てて返事をした。年下のあたしが言うのもなんだけど、なんだか可愛らしい。
「じゃあね、また明日……お休み。柚葉ちゃん」
「あ、はい、おやすみなさいです」
うむむ、年上の人へのおやすみはなんと言えばいいんだろう……。
不自然な敬語を用いてあたしが返すと、女王さまは柔らかい笑みを浮かべてゆっくりと消えていった。
きっと魔法界の方で、ここの言葉で言うと――――通信を切断したんだろう。
ミミさんは話が終わるとすぐに一礼し、謝ってから静かにあたしの住む家を出て行った。
ママの反対を押し切って魔法界行きを決めたようなものだから、なにを言われるのか少し恐ろしいんだけど……。
きっと、こっぴどく叱られちゃうんだろうな……。
それに女王さまにガン無視されてたし、怒り倍増じゃんか。
たらり、と冷や汗を垂らしながら恐る恐るママの顔を見る。
その割と整っている顔はありえないくらい蒼白で、呆然と女王さまの顔があった場所に視線を向けたまま。
ほんと一体何なの﹏﹏﹏﹏!? なんで行っちゃ駄目なのか理由が気になるよ。それさえも教えてくれないのに行っちゃ駄目なんて理不尽。
むっすーとハリセンボンみたいに頬を膨らませながらママを見ていたら、ふと視線が合う。
その状態が十秒ほど続き、すぐに耐えられなくなったあたしが声をあげた。
「……な、なに……?」
そんなに見つめられるといにくい……。
「……」