一週間、魔法使いになります。
分からなかったノックの音源は、あたしの部屋の縦に長い窓ガラス。
透明なガラス一枚の壁の向こうにノックをしてきた誰かがいる。
ちょ、まだノックしてるんですけど……!
なに、家の中に入りたいの?
っていうかここ三階だよ!? どうやってベランダに入ってきたの!?
ど、泥棒……!? いやまさか。
でも、どう考えてもこの状況は危険だ。
怖いので窓の方を見ずに首を捻ったまま、滑らかに動く椅子から退き、走って勢い良くドアを開いたままで部屋を出た。
「ちょ、ちょっと行かないでください﹏﹏!」
後ろからあたしにかけられた困ったような、少女の声。
それで止まるわけもなく、声を振り払って玄関へ走り込む。
小さく「すいません!」と謝る声が聞こえるとパリン、とガラスが割れるような冷たい音がした。
な、窓割ったのっ!?