婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「じゃ、お先に」
葛城はにこやかに言うと、颯爽とした足取りで帰って行った。
その後ろ姿を、気まずい空気のまま四人で見送る。
「あーあ…」藤原は責めるような視線を田中へ向ける。
「なんだよ、匠が絵梨とデートするのは俺の責任じゃないだろ」田中は機械のような抑揚のない口調で抗議する。
「まあ、そうがけどさ、残された俺たちが気まずくなるような事言うなよな」
藤原に言われた意味がイマイチ理解出来ないのか田中は首を傾げる。
「別に私は大丈夫だよ」
なあんて強がってみると藤原と中谷先輩に尚更哀れんだ目で見られる。
逆に辛い…。
ため息を着くと、腹の虫がぐうっとなった。
「なんだ遥、腹減ってんのか」田中がすかさず突っ込んだ。
「お前、お詫びに奢ってやれよ」藤原に言われると田中は、何で俺が、と抗議した。
「そうだよ、昨日麻雀で一人勝ちして金持ってんだろ」
中谷先輩が恨みがましい視線を向けるが田中はツンと澄ました顔で聞こえないふりをしている。
昨日の麻雀は好青年の中谷先輩と性悪の田中が一緒だったようで、これまた意外だった。
「じゃあ、遥のバイト先に行こう。学校の近くだから」
田中め… また余計なことを…
私は苦々しい気持ちになる。
「なんで田中が遥ちゃんのバイト先知ってるんだよ」中谷先輩が怪訝な表情を浮かべる。
「遥と俺は仲良しだからだ」
「迷惑です。やめてください」拒絶する。
「うーん、でも確かに遥ちゃんの職場には行ってみたいかも。迷惑かな?」中谷先輩は初夏に吹く風のごとく爽やかに尋ねる。
ここで、お願いを拒める女子っているのだろうか。
もしいるのであれば、その精神力の強靭さを私は尊敬してしまうだろう。
葛城はにこやかに言うと、颯爽とした足取りで帰って行った。
その後ろ姿を、気まずい空気のまま四人で見送る。
「あーあ…」藤原は責めるような視線を田中へ向ける。
「なんだよ、匠が絵梨とデートするのは俺の責任じゃないだろ」田中は機械のような抑揚のない口調で抗議する。
「まあ、そうがけどさ、残された俺たちが気まずくなるような事言うなよな」
藤原に言われた意味がイマイチ理解出来ないのか田中は首を傾げる。
「別に私は大丈夫だよ」
なあんて強がってみると藤原と中谷先輩に尚更哀れんだ目で見られる。
逆に辛い…。
ため息を着くと、腹の虫がぐうっとなった。
「なんだ遥、腹減ってんのか」田中がすかさず突っ込んだ。
「お前、お詫びに奢ってやれよ」藤原に言われると田中は、何で俺が、と抗議した。
「そうだよ、昨日麻雀で一人勝ちして金持ってんだろ」
中谷先輩が恨みがましい視線を向けるが田中はツンと澄ました顔で聞こえないふりをしている。
昨日の麻雀は好青年の中谷先輩と性悪の田中が一緒だったようで、これまた意外だった。
「じゃあ、遥のバイト先に行こう。学校の近くだから」
田中め… また余計なことを…
私は苦々しい気持ちになる。
「なんで田中が遥ちゃんのバイト先知ってるんだよ」中谷先輩が怪訝な表情を浮かべる。
「遥と俺は仲良しだからだ」
「迷惑です。やめてください」拒絶する。
「うーん、でも確かに遥ちゃんの職場には行ってみたいかも。迷惑かな?」中谷先輩は初夏に吹く風のごとく爽やかに尋ねる。
ここで、お願いを拒める女子っているのだろうか。
もしいるのであれば、その精神力の強靭さを私は尊敬してしまうだろう。