婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
食事とドリンクを各自でオーダーする。

私はペンネアラビアータに根菜サラダ、そして赤ワインのフルボトルをチョイスした。

田中の奢りなのだから今日はお腹いっぱい食べるつもり。

テーブルに座るメンバーの顔をぐるりと見まわすと、改めて変なメンバーだな、と思う。

「お待たせしました」尋英さんが料理を運んでくる。

「わお!赤ワイン!」私は目を輝かせる。

「清純そうな顔して酒飲みってどういうことだよ」

まぁまぁお高いボトルを入れたので田中はちょっと不本意そうだ。

私達はそれぞれのグラスを合わせて乾杯する。

ワインを飲みながら、美味しい食事を食べて私はご満悦だ。たまには田中に感謝するのも悪くない。

「それにしても中谷先輩が藤原氏と田中氏と一緒に雀荘へ行く仲だとは知りませんでした」

「クラスメイトだからね、一応」中谷さんが爽やかに答えると「一応は余計だろー」と藤原が突っ込む。

「中谷先輩は高校時代はアイドル的な人気を誇ってたんですよ?女の子をとっかえひっかえの二人とは違います」

「言うなら俺もアイドル的な存在だったぞ?」

田中が言うと俺もー、と藤原までもが言いだす始末。

本当この人たちは図々しい。

「いやいや、二人とは人間性が違います!」

私は肩を竦めてッハと鼻で笑う。

「中谷先輩は、格好良くて、頭がよくて、テニスも上手くて、明るくて人気者で誠実で、そりゃパーフェクツな青年なんですからね!お二人ともまぁ、容姿端麗で頭もそこそこいいとは思いますけど素行に問題ありじゃないですかー」

自分のことではないのに、何故か私は得意気に話す。
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