婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「お前、本当に失礼だな」失礼な田中から、まさかの反論だ。

藤原氏は苦笑いを浮かべ、中谷先輩の肩に手を置いた。

「何なんですか、その苦い顔は?!」

「そんな風に見られてたら、中谷の性格上、手も出せないだろうなと思って」藤原は同情の視線を中谷先輩へ向ける。

「お、俺は別に、そんな」中谷先輩は焦って視線を泳がせた。

「そうですよ!中谷先輩がそんなイヤらしい事を考える訳ないじゃないですか?!」私は鼻の頭に皺を寄せて庇う。

「がんばれー中谷」

藤原が何故か筋違いな励ましをすると、中谷先輩は困ったように唇の端を上げた。
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