婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
離れには私と匠さんが二人残される。

炬燵に入りまったりとバラエティ番組を眺め、なんだかメローな雰囲気だ。

「葛城さんも帰りますよね…」

みかんの皮を剥きながら尋ねる。ちなみにこのみかんは田中が勝手にカートに入れて買わされたもののうちの一つだ。

「明日はゴルフコンペに参加しなきゃいけなくて朝が早いんだ」

「そうですよね」私はボソリと呟く。

「もしかして寂しいの?」匠さんはテーブルの上に肘をつき私の顔を覗きこむ。

正直、寂しい…さっきまで賑やかで楽しかったから尚更一人になると寂しくなりそうだ。

「そうゆう訳じゃないんですけど」私はみかんを一房口に入れる。

「素直じゃないなー」

匠さんは断りもなくみかんを私の手から掠め取る。

「そんな可愛げのない遥だけど俺はもう少し一緒にいたい。泊ってっていい?」

匠さんのまさかの答えに私はニッコリと笑顔を浮かべコクコクと首を縦に振った。
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