婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
店内は大勢の人でにぎわっていた。

私の誕生日パーリーの割には知らない人がたくさんいるのは何故だろう。

キョロキョロしながらうす暗い店内を見渡す。

「はるかー!」名前を呼ばれて振り返ると瑞希が手を振り、人ごみを掻きわけてこちらへ駆け寄ってきた。

「Happy birth day!」瑞希は私にぴょんと飛びつくと頬にチュっとキスをした。

「ありがと」私は照れて二コリと微笑む。

私達は瑞希にエスコートされ奥のソファーに連れて行かれる。

キョトンとしたまま匠さんと並んで腰を下ろした。

「こ、これは一体?」私は匠さんに尋ねる。

「葛城さんが二十歳のお祝にってサプライズで企画してくれたのよ!一時はどうなる事かと思ったけど超愛されてるじゃん遥!よかったねぇ」

瑞希はニッコリと砂糖菓子のような甘い笑みを浮かべた。

「そ、そうね」私は驚きのあまりまだボウっとしている。

「とりあえず何か飲み物を取ってくるよ」と言って匠さんは席を立ちカウンターの方へ去って行った。

「あ!遥ちゃん!来たのねー!」サーブをしていた沙織さんが私に気が付き声を掛けてくる。

「happy birth day!」沙織さんも私の頬にチュッとキスをした。

「あ、ありがとうございます」なんでキスするのかな。欧米化?などと少々ベタなツッコミをしてしまう。

楽しんでってね!と言ってバチリとウィンクすると沙織さん仕事へ戻って行った。

「お!来たな遥」例の悪友コンビがニヤニヤしながら近づいてきた。

「おめでと、遥ちゃん」…しかも佑介さんまで。ちょっと気まずいけど相変わらず男前だから超嬉しい。

「皆さん、お忙しい中お揃いでありがとうございます」私は律儀にペコリと頭を下げた。
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