婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「匠、この子と結婚するのー?」女が甘ったるい声で尋ねる。

「そのうちね」と葛城が答えると「ええ?!」と言って女は驚く。

「随分貧弱な子と結婚するのね」女は私をチラリと一瞥する。

悔しいが出るところ出てるナイスバディ。

「厚化粧よりマシよ!」私はキッと睨みつけて言い返す。

「匠、酷い事言われたあ」女は葛城の首に手を回してしな垂れかかった。

最初に酷い事を言って来たのはそっちだろ?!

私はフンと鼻を鳴らした。

葛城はその様子を見て、クスクス笑っている。

「そういう訳で、もう私は嫁ぐ気満々ですから」私は腰に手を当てて仁王立ちのまま言う。

「それはよかった。よろしくね、奥さん」葛城は女を片手に抱いたまま言う。

傍から見れば、未来の結婚を約束する男女のあるべき姿とは相当かけ離れた光景だ。

子どもの頃の私が見たら、きっと泣くだろう。

「また具体的なお話しはまた卒業後にしましょう。出来ればそれまでは私に関わらないで欲しいです。私も貴方に関わらないようにしますので」

「うん、君が納得したなら特に用も無いから大丈夫だよ」葛城は穏やかな口調で言う。

ちょっと失礼かと思ったけど、微塵も気にしてないみたい。

「よかった!」私は自然と笑みが零れる。

「其れだけなので、続きはどうぞごゆっくり」

私は一礼するとそそくさと部屋から出て行った。


人生の墓場に入るまで残された執行猶予は4年間…

『結婚までにやりたいことリスト』を作ろうと私は決心した。

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