婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
ヘアサロンを後にした私はご機嫌で、瑞希と待ち合わせたコーヒーショップへ向かう。

その途中、通りのウィンドウに映る姿を何度もチェックしてしまった。

髪型一つで、こんな気分が高揚するものなのかと改めて思う。

「いいじゃーん!超かわいいよ!遥!」瑞樹は一目みるなり絶賛だ。

「えへへーありがとう!」私はにっこり笑う。

「遥は元はいいんだから磨けば綺麗になるよ!」

「そ、そうかな」照れる私を励ますように瑞希は力強く頷いた。

「でも、どうしたの?急に洒落気づいちゃって」

「私、彼氏が欲しいの」

瑞樹は飲んでいたジュースを吹き出しそうになる。

「え、ええ?!だって、葛城さんは?」

「あの人は婚約者だもん。彼氏じゃないわ」

「でも、いいの?彼氏が出来たら婚約取り消し、何て事になるんじゃない?」

「大丈夫だよ。あの人は私に興味無いから。きちんと結婚が出来ればそれでいいみたい」私はコーヒーを一口飲む。

「随分ドライな関係なのね?」瑞希は肩を竦めて言った。

「それに、今まで勉強ばっかりでお洒落なんてあまりした事なかったからさ」恥ずかしくなりつい俯いてしまった。

「わかった。じゃあ、今日は遥に似合う可愛い服をたくさん買っちゃおう」瑞希はにっこり微笑んだ。
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