婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
くっそ、困る私を見て、絶対面白がってるんだろうな。

ここで弱味を見せたら逆にこの変態を喜ばせる事になる。

私は腹をくくり、瑞希を頭でイメージする。

これ以上近寄ってこないよう葛城の胸にそっと手を添えた。

「ありがとう、貴方」

私は瑞希の真似をして、ちょっと小首を傾げながらニッコリと微笑みかける。

葛城は大きく目を見開くき固まった。

「あ、あれ?変でした?」様子が変なので私は焦って赤くなる。

「すっげえ可愛い」

「は?」

葛城に肩を掴まれた。後ず去ろうとするが既に壁迄追い詰められている。私は完全に逃げ場失った。

「もう一回笑って、遥」私の頬に手を当てて顔を覗き込む。

「この状況じゃ無理です」

私は俯こうとするが顎を手で抑えれてぐいっと上を向かされた。

私が異議を申し立てようとした瞬間、唇を塞がれた。

反射的に身体を引き離そうとしたが腰を引き寄せられて余計に身体が密着してしまう。

口が開いていたので歯列の間からするりと舌が差し入れられた。

「ん…!」

私は驚きのあまり、思わず声を上げしまった。

葛城は口内を味わうようにじっくりと舌を這わせる。

なにこのキス…この間と全然違う。

息苦しくて、いやらしくて、頭がぼうっとする。

葛城の腕にしがみつき、食べられているようなキスに必死で堪える。

狭い更衣室に互いの熱い吐息とリップ音が響いた。
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