婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「瑞希!」私はキラキラした視線を向ける。

「はいはい、解ってるわよ。行きたいんでしょ?合宿」私はブンブンと首を縦に振る。

「とりあえず、私はバイトが休めるか確認してみるよ」瑞希は高級焼き肉店と家庭教師のアルバイトを掛け持ちしている。2つの収入を合わせると結構な額になるらしい。

「バイトかぁ」私はペンを口元に当てて考え込む。

「まさか、遥バイトしたことないの?」私はこっくり頷いた。

「じゃあ、洋服買う時とかどうしてるのよ」

「小学生から貯めてた貯金を切り崩してる。でも合宿に参加するとなると、結構な出費になっちゃうよね」

今までは、まあまあお金がある家だと思っていたので、親に相談して負担してもらっていたけど、借金が発覚した今となってはそんなことをお願い出来る状況ではない。

「バイト探してみたら?行きたいんでしょ、軽井沢」

私はブンブンと首を縦に振る。

「それになんか青春っぽいよね、アルバイトって」

「… よくわからないわ、その感覚」瑞希が呆れたように言う。

中谷先輩と軽井沢で夏の想い出の1ページを飾るべく、私は人生初のアルバイトを探すことにした。
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