婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
スペイン語の授業が終わると私は勢いよく席を立った。

「遥ぁ、この後みんなでお茶しようって話してるんだけどー」瑞希に声を掛けれられる。

「ごめん!私この後バイトなんだよね」私は鞄に荷物をまとめながら答える。

「あれ、あんたバイト見つけたの?」

「うん、学校の近くのSAKUっていうお店で先週から働き始めたの」

「ああ!あのお洒落なカフェ?」どうやら瑞希も知っているようだ。

「よかったら今度お茶しに来て!急いでるから先に行くね」

私は鞄を肩に下げて、あたふたと教室から出て行った。


17:25分

SAKUまでは学校から走って5分ほどで到着する。

ギリギリセーフね。

息を整えて裏口から店内へと入っていき、従業員用のロッカーで、ユニフォームへ着替える。

「お疲れーす」ドアが開き、溌剌としたショートカットの女性が入って来てた。

「尋英さん、お疲れ様です」

「ああ、今日のシフト遥ちゃん入ってたんだ」

ショートカットの女性は新島尋英(にいじま ひろえ)さんという。私の6つ上で今年25になる。

スラリと背が高くスタイルがよいので、何を着ても様になる。化粧っけが殆どないのにハッキリした目鼻立ちをしていて美人の部類に入るのは間違いない。

「大分慣れた?」

「はい、お陰様で。わからないことはまだ沢山あるんですが」

「何でも聞いて」尋英さんはにかっと笑った。

着替えが終わると二人並んでフロアへ向かう。
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