婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
俄かに入口付近の席がざわついている。思わず視線を向けると、三人の男性がコンパの席に姿を現した。

明らかにこの場の雰囲気にそぐわない異質な存在。

「おお!やってるねー」

短く髪を刈り上げたソフトモヒカンの男性がニヤニヤと笑って新歓コンパの席を見渡す。

くっきりした二重に厚めの唇が色っぽい。顎鬚なんて生やして、いかにも遊んでいそうな風貌だ。

「で、この中にいるのか?」

もう一人はもんのスゴイ美形。長めに伸ばした髪に切れ長の瞳。美しいが表情がなく、冷たい印象を与える。

「小森遥ってどの子?」

一番先頭にいた男性が私の名前を呼ぶ。穏やかな表情に短く切りそろえられた髪。

連れの二人程の華やかさはないが、吊ったアーモンドアイに通った鼻筋は充分美形で通用する。

そしてそれを以って補うほどの優雅さを兼ね備えていた。

尋ねられた女子が真っ赤になって私の方を指さしている。

三人の男性が、こちらへ向かって歩いてきた。

モデルさんみたい…

私はその様子をぼんやりと眺めている。
< 5 / 288 >

この作品をシェア

pagetop