婚約者は突然に～政略結婚までにしたい５つのこと～

「おや、これはこれは、中谷くんじゃないか」

アーモンドアイの男がニッコリと柔らかな笑みを浮かべる。

「葛城、お前どうしてここに？」中谷先輩が怪訝な表情で尋ねる。

「まあまあ、そんな邪険にしなくてもいいじゃないか。君に用があってきた訳じゃあない」

「何しにきた？」中谷先輩の目に警戒の色が浮かぶ。

「人を探しに来た。小森遥という女子はどの子だ？」

葛城、と呼ばれた男が尋ねる。

「もしかしてこの子？」チャラそうな男が瑞希の顔を除き込む。

「ハズレー」瑞希はプイっと横を向いた。

「まさか、この地味な女か？」超絶美形が私を指さした。しかも、超無礼だ。

「田中、小森さんに失礼だろ？！」中谷先輩が反論してくれて思わずジンと来てしまった。

しかし、私が小森遥である事はこの三人にバレたも同然だ。

「うっそ！この子が小森遥なんだ」チャラ男が顔を近づけてジッと私を凝視する。

「藤原も辞めろよ」中谷先輩が後ろ手で私を庇ってくれた。こんなときになんだけど、胸キュンだ。

図々しい藤原に感謝したいくらい。

しかし三人は全く臆する程なく不躾なほど三人は私の顔をジロジロ覗き込んできた。