婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
メッセージの内容を確認すると中谷先輩からだった。

『軽井沢どう?俺は結局東京にとどまり、本日焼肉』

焼肉とビールの写真も添付されてた。

嬉しくて思わず頬が緩んでしまう。

「我が家も今晩バーベキューです。軽井沢に一緒に行けると良かったです」

双子達がスペアリブにかじりついている写メを一緒に送った。

直ぐに返信が返ってくる。

『おお、肉食男子だね。軽井沢は一緒に行けなかったので、せめて焼肉は一緒に食べに行こ』

「わーい、楽しみ」スタンプと一緒に送信する。

中谷先輩から変な人型のスタンプが送られて来たので思わず笑ってしまった。

「何やってんの?」

不意に声を掛けられて顔を上げる。

葛城が空いたお皿を下げに来たようだ。

「ん、ちょっと涼んでたー」反射的にスマホの画面を伏せると、さりげない口調で答える。

「早く行かないと双子達に肉食べられちゃうぞ」

くしゃりと頭を撫でて、葛城はテラスの方へと戻っていった。

何だか酷く後ろめたい気分になる。

さっきまでは、葛城にかじりついき夢中になってキスしていたのに、中谷先輩からメールが来ただけで、こんなに胸を躍らせているなんて。

私はずるい人間だ。

早く師匠の元へ駆け込んで、懺悔したい気分になってしまった。
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