歪な愛のカタチ
仁と杏奈。
「そうよそれよ!」
耕太との遣り取りを杏奈に話せば、やっぱり身に覚えがあるんじゃない、と頬を膨らませた。
「仁さ、あのメール、誰に送ったか確認した?」
「え?」
「やっぱり……フットサル同好会のメールに返信したの、気付いてなかったの?」
「はぁ?嘘?……マジで?」
杏奈の言葉に目を丸くして驚けば、マジで?じゃないよー、と杏奈は呆れ顔になった。
「あんなメール、みんなに送っちゃってどうするのよ!」
怒ってる杏奈にマジかよ、って言いながら自分の仕事用のPC取り出して確認すれば、送るつもりだった女の子からのメールの下にあった、CCで送られてきたフットサル同好会のメールに、返信してるのを確認する。
結局、杏奈の言うように、会社で適当に集まったメンツで作ったフットサルの同好会メンバー全員に、昼間の標語のメールを送っていたのが発覚したのだった。
「あははは、有り得ねぇ」
「あはははって……笑い事?」
「笑えるじゃん。つーか、なんでお前はそんなに怒ってんの?」
PC閉じながら問い掛ければ、信じられないものでも見るような目で見つめられた。
「あのね、柴課長なんて、面白がってわざわざ秘書課に自らやって来たんだよ?」
「は?」
「お前愛されてんなぁ、とか言って、散々からかわれたんだからね!」
杏奈が怒ってる原因の九割は柴課長のせいか、とある意味納得する俺。
まぁ、残りの一割は恥ずかしい、とかなんだと思うけど。