歪な愛のカタチ
「待ってたぜ、今日から完全安全日」

思い浮かんだままに口にすると、向かいの耕太が一瞬だけ間抜け顔になる。


「…………は?まさかそれ標語じゃないっすよね?」
「いや、標語」
「あははは…それ、完全に今の仁さんの気持ちを言い表しただけっすよね?」
「いーじゃん。安全確認週間だし間違ってねぇだろ?」

さっきは笑ったくせに、本気だって言った途端に俺を見る耕太の目が冷ややかになったのは多分気のせい、だよな?



「じゃあ……ヤル気出せ、今日から毎日安全日…これならどう?」
「俺思うんですけど…」
「ん?」
「仁さんて、すげぇアグレッシブっすよね」
「おう、サンキュー」

俺が満面の笑みで耕太に礼を言えば、言っとくけど嫌味っすよ?と口許を歪めて笑う耕太。
チッと思いっきり舌打ちをして耕太を睨んで、だったらお前もなんか出せよ、と凄む。



「いや、まぁそうなんすけど……安全確認する為、つーか人的ミス防止の為の標語ですよね?」
「まぁ、大体はそんな感じ?」
「仁さんのって、ただの宣言みたいになってるじゃないっすか…」
「うるせぇなぁ。しょうがねぇだろ?一週間も我慢してるこっちの身にもなれよ!」
「うははは。また話元戻っちまった…」

アホっすね、仁さん、と耕太が笑うから、俺はその頭をスコン、と叩いた。



「笑ってる場合じゃねぇだろ。お前が思いつかねぇのが悪いんじゃねぇか」
「まぁ、確かに?」
「だろ?よし、お前はこれにしろ」
「これ?」
「…安全日、確認忘れて大惨事…どうだ?いいだろ?」

我ながらいいできじゃね?と耕太を見れば、相変わらず不満そうな顔をしている。


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