暗黒マスク伝説『ワンピースとダースベーダーと私』
 結局、加奈たちの席に来たのは小林だった。


「ホットコーヒを5つでよろしいんですか。

 6つじゃなくて?」



 小林が聞き返す。

 その顔はいつも通りで、すっかり暗黒マスクに慣れたようだ。



 この順応性と、ふところの深さは本当に素晴らしい。


 彼女こそが、ソウルセイバーを持つのにふさわしい人物だ。




「うん、5つ。

 私はもうしばらくしたら帰るし」

 加奈が言う。




―――“しばらくしたら”じゃなくて、今帰れ!

    今すぐ帰れ!

    そして二度と来るな!!






 店内を迷惑以外何物でもない格好で来店しておきながら、ドリンクの一つも注文しない腹立たしさ満点のダースベーダーに向かって、小林は心の中で毒を吐く。



 営業スマイルを貼り付けて。


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