暗黒マスク伝説『ワンピースとダースベーダーと私』
 気を取り直し、ラックから雑誌を取り出して読んでいたところへ

「か、か、川田さん。
 2番の診察室へどうぞ・・・」

 歯科助手がビクビクしながら声をかけてくる。



「は~い」

 丸めたコートを脇に抱えて、加奈は中へ入っていった。



「失礼しまぁす」

 加奈は診察台の上に横になる。

 マスクはかぶったままで・・・。



「い、今、先生来ますから・・・。
 あ、あの、少々お待ちください・・・」

 水の入ったコップを置いた歯科助手が、逃げる様にその場を後にした。




 しばらくして、誰かがやってくる足音が。


「こんにちは」

 隣りの診察室と仕切っているカーテンが開いて、顔を出したのは担当歯科医。


 腕がいいと評判の、ここの院長である。

 腕以上に、顔がいい事でも評判だったりする。


 35歳、独身。

 長身でスレンダー。


 趣味は・・・ポニーで乗馬。


(微妙にかっこ悪いね・・・)

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