魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?
第一章:私、勇者になります!
――2015年1月大阪・とあるマンションの一室

 人は新しい何かを作るのには、時間がかかる。
 1度開発をしてしまえば、発展させることは得意だった。
 魔族から与えられた兵器フェアリー。
 そして、人類は4種類のタイプに別れることになる。

 ひとつは、産まれると同時に体内にチップを埋め込みフェアリーの操縦の感度を上げたセカンド。

 そして、産まれる前に遺伝子操作を受け身体能力や知能を大幅に上げたデザイナー。


 上記、2種類の技術を埋め込まれたユニコーン。

 最後に、なんの操作も受けていないものの無限の可能性を秘めたファースト。

 人々はそれぞれの長所を活かし生活をしていた。
 柊 万桜(ひいらぎ まお)もそのひとりだ。
 万桜は、セカンドとして星城学園(せいじょうがくえん)に通っている高校1年生だ。
 そんな万桜には、誰にも言えない秘密があった。
 それは、自分が魔王サタンの7番目の娘。
 そのため、事実上は脳内にチップは入っていない。
 だが魔族であるためフェアリーをセカンドかそれ以上の潜在能力を秘めている。
 しかし万桜は、修行の身。
 フェアリーの操縦技術は、まだまだ未熟なところがあった。
 万桜は、小さく深呼吸をした。

「勇者になるぞ!」

 万桜は、鏡の前でそう言って小さく笑った。
 万桜は今、マンションでひとり暮らしをしている。
 他の兄妹は、魔界に残っている。
 それぞれ好きに生きている。
 万桜の夢は昔絵本で読んでもらったときに出てきた勇者のような存在になることだ。
 魔王なのに悪を退治する勇者を目指す。
 人類には、悪の根源と言われている魔王。
 その娘が勇者を目指すことにサタンには、反対された。
 しかし、万桜の必死の説得により自分が魔王であることを黙っていることを条件に星城学園に入学した。
 万桜は、ゆっくりとうなずくとマンションを出て学校に向かった。
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