魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?
 万桜が駆ける。
 ベルも鞭を構える。
 万桜が自分の愛刀を振り上げる。
 ベルの鞭が伸びる。
 万桜の刀とベルの鞭がぶつかり合おうとした時。
 ひとつの影が現れる。
 銀髪に金色の少年が万桜の刀を左手にベルの鞭を右手に掴む。

「サイアス先輩、どういうつもりだい?
 生徒会が生徒の喧嘩に介入するつもりかい?」

 ベルが、その少年を睨む。
 少年の名前は、サイアス=サウスバード。
 星城学園の生徒会長を務める3年生だ。
 サイアスは、ゆっくりと万桜とベルを睨む。

「ベルくんに万桜くん。
 校内での決闘は禁止だよ」

「決闘?ただの喧嘩だよ」

 サイアスの言葉にベルが笑う。

「喧嘩?
 一方的にテルヲくんを殴っていたんじゃないのかい?」

 サイアスが、そう言うとジルが廊下につばを吐く。

「ただの遊びだよ!
 生徒会が口出してんじゃねぇよ!」

「なら、僕がこれからする行為も遊びになるのかい?」

 サイアスが、そう言ってジルを睨む。

「殴るのか?
 俺の親は国会議員だ。
 わかっているんだろうな?」

「怖いのかい?
 僕のこと……」

「いくらお前でも俺ら3人相手ではタダでは済まないんじゃないのか?
 ああん?」

 ジルが、そう言って笑みを浮かべる。

「いや、こっちは4人だ」

 ぽっちゃりした黒髪の男、イケメン風の茶髪の男、ヤセ型でブロンド色の髪の男の3人が、サイアスの後ろに立つ。

「面白いじゃん、かかって来いよ。
 デザイナーを舐めるなよ?」

 ジャキが、そう言って両手に銃を召喚して銃弾を放つ。
 するとぽっちゃりした黒髪の男が、その銃弾を体で受け止める。
 そして、そのままその銃弾を弾き飛ばした。

「そうこないと面白くねぇ!」

 ジルが、そう言って大きな剣を召喚した。
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