魔王の娘が勇者になりたいって変ですか?
――昼休み
万桜は、屋上に向かいスマートフォンを操作する。
兄である黒曜(こくよう)に愚痴をこぼすためだ。
「――それでね、お兄さま」
万桜が、そう言葉を投げかけると黒曜が声を上げる。
「うん?」
「お兄さま、どうかしましたか?」
黒曜の異変に万桜は気づくと首を傾げた。
「万桜、今お前は学校にいるのか?」
黒曜の声が緊迫していた。
「はい。
今、昼休みなので学校にいます」
「今すぐその場から――」
黒曜が、そこまで言いかけたとき通話が途切れた。
「あれ?私のスマホ圏外になってる……」
万桜が、再び首を傾げた。
すると空が一瞬明るくなり万桜の体が暖かくなる。
そして、その温もりが灼熱へと代わる。
万桜は、熱さで思わず目を閉じてしまう。
「なにこれ……」
万桜が、目を開けたとき万桜の周りが……
星城学園が、焼け野原になっていた。
万桜の腕の一部がケロイド状態になっていた。
そして、少しずつ再生していく……
制服もボロボロになっていた。
万桜は、言葉を失った。
「テルヲくん!」
万桜の耳に聞き覚えのある声が入ってきた。
万桜は駆ける。
その声の主の方へ……
するとそこには、玉藻がいた。
玉藻がテルヲの腕を掴んでいた。
「テルヲくん!玉藻ちゃん!」
万桜が、テルヲたちの傍に駆け寄る。
「行かなくちゃ……」
テルヲが、つぶやく。
「何処へ行くのですか!」
玉藻が目に涙を浮かべてテルヲの腕を引っ張る。
「わからない。
でも、行くんだ……」
テルヲが、そう言って一歩、また一歩、足を歩める。
「ダメです!
テルヲくん怪我をしているじゃないですか!」
万桜が、テルヲの頭を見ると頭から血が流れていた。
「それでも行くんだ……」
「ダメです!
今は、避難しましょう」
玉藻が、テルヲの腕をさらに引っ張る。
「行くんだ……
天使の帰る場所へ……」
玉藻は、その言葉を聞いた途端体の力が抜ける。
天使の帰る場所。
それは、神々の下僕である天使族の楽園。
人類の敵の居場所でもある。
「どうして、そんな場所に……?」
玉藻の言葉が、テルヲに届く。
するとテルヲが優しく答える。
「さぁ?」
テルヲがそう言う。
テルヲの背後に魔法陣が現れる。
そこから腕が現れ、胴体が現れ……
そして、2階建ての家と同じくらいの大きさのロボットが現れる。
テルヲは、ゆっくりとそのロボットに触れる。
すると体が光りだしロボットへと吸収される。
テルヲは、そのロボットに搭乗したのである。
そして、そのロボットからテルヲの声が響く。
「さようなら。
名前も知らない人……」
テルヲは、そう言ってそのロボットと共にその場から姿を消した。
万桜は、屋上に向かいスマートフォンを操作する。
兄である黒曜(こくよう)に愚痴をこぼすためだ。
「――それでね、お兄さま」
万桜が、そう言葉を投げかけると黒曜が声を上げる。
「うん?」
「お兄さま、どうかしましたか?」
黒曜の異変に万桜は気づくと首を傾げた。
「万桜、今お前は学校にいるのか?」
黒曜の声が緊迫していた。
「はい。
今、昼休みなので学校にいます」
「今すぐその場から――」
黒曜が、そこまで言いかけたとき通話が途切れた。
「あれ?私のスマホ圏外になってる……」
万桜が、再び首を傾げた。
すると空が一瞬明るくなり万桜の体が暖かくなる。
そして、その温もりが灼熱へと代わる。
万桜は、熱さで思わず目を閉じてしまう。
「なにこれ……」
万桜が、目を開けたとき万桜の周りが……
星城学園が、焼け野原になっていた。
万桜の腕の一部がケロイド状態になっていた。
そして、少しずつ再生していく……
制服もボロボロになっていた。
万桜は、言葉を失った。
「テルヲくん!」
万桜の耳に聞き覚えのある声が入ってきた。
万桜は駆ける。
その声の主の方へ……
するとそこには、玉藻がいた。
玉藻がテルヲの腕を掴んでいた。
「テルヲくん!玉藻ちゃん!」
万桜が、テルヲたちの傍に駆け寄る。
「行かなくちゃ……」
テルヲが、つぶやく。
「何処へ行くのですか!」
玉藻が目に涙を浮かべてテルヲの腕を引っ張る。
「わからない。
でも、行くんだ……」
テルヲが、そう言って一歩、また一歩、足を歩める。
「ダメです!
テルヲくん怪我をしているじゃないですか!」
万桜が、テルヲの頭を見ると頭から血が流れていた。
「それでも行くんだ……」
「ダメです!
今は、避難しましょう」
玉藻が、テルヲの腕をさらに引っ張る。
「行くんだ……
天使の帰る場所へ……」
玉藻は、その言葉を聞いた途端体の力が抜ける。
天使の帰る場所。
それは、神々の下僕である天使族の楽園。
人類の敵の居場所でもある。
「どうして、そんな場所に……?」
玉藻の言葉が、テルヲに届く。
するとテルヲが優しく答える。
「さぁ?」
テルヲがそう言う。
テルヲの背後に魔法陣が現れる。
そこから腕が現れ、胴体が現れ……
そして、2階建ての家と同じくらいの大きさのロボットが現れる。
テルヲは、ゆっくりとそのロボットに触れる。
すると体が光りだしロボットへと吸収される。
テルヲは、そのロボットに搭乗したのである。
そして、そのロボットからテルヲの声が響く。
「さようなら。
名前も知らない人……」
テルヲは、そう言ってそのロボットと共にその場から姿を消した。