初恋　二度目の恋…最後の恋
　研究という仕事は成果を上げることが第一で、結果が上がらないとそれまでの苦労は水泡と化す。そんな何度も何度も繰り返す研究の中、中垣先輩と私は一緒に成果を上げる同志だった。いくら、中垣先輩が優秀な研究員であってもその研究に失敗がないことはない。失敗と重ねて成功を勝ち取っていく。


　私は中垣先輩を尊敬はしている。でも、中垣先輩への思いは恋ではない。


「お気持ちは嬉しいです。でも、あまりにもいきなりで混乱してます」


「今は俺の気持ちを知っていてくれたらそれでいい。それと、もし俺を受け入れられなくても研究所に戻って欲しいとは思っている。その時は東京北研究所の時に戻るだけだ。絶対に俺の気持ちで坂上に迷惑は掛けない。研究員としての坂上を俺は認めている。だから、また一緒に研究をしたい」



　中垣先輩は私が気持ちに応えることが出来なくても多分変わらないだろう。それは一緒にずっと居たからこそ分かること。自分の気持ちで研究に支障を来すようなことはないだろう。



「ありがとうございます。そんな風に言って貰えると嬉しいです」


　顔が赤くなるのを感じながら私は中垣主任を見つめる。先輩が素直な気持ちで私を見つめてくれるのに、私が誤魔化すわけにはいかない。だから、素直に自分の気持ちで応えた。これがあっているのか間違っているのかわからない。


「坂上はかなり変わったな」

「え」

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