初恋 二度目の恋…最後の恋
 そんな高見主任の言葉に私は頷く。さすがに今日から誰かと同行というのは厳しい。そんな私のことを気遣っての仕事の配分はやhり高見主任の優しさであり、管理能力が優れているからだろう。


「じゃあ、今日はまずメールを確認してからこの仕事をするように」


 そう言って高見主任から渡されたクリアファイルに入った書類は私が思っていたよりも多い。でも、単に長く休んでいたからだと思ったけど、どうもそうではない。


 私がしないでもいいような仕事が多く含まれている。与えられた仕事は思ったよりも量が多い。でも、単純作業で時間は掛からない。あまり何も考えずに手を動かしていれば終わるような仕事の数々に私が仕事に没頭できるようにとの配慮だと気付いたのは定時を回った頃だった。


 必死に仕事をしていたら、もう終業時間。私の退社する時間になっていた。



 私は休んでいる間、お祖母ちゃんのことを思い出し涙を流していた。自分のマンションにいると不意に思い出し、泣いていた。そんな毎日だったのに会社に来たら、余りの仕事の忙しさに包まれて、私は涙を流す時間さえなかった。


「お疲れ様。久しぶりで疲れたんじゃない?」

 
 そういって声を掛けてくれたのは折戸さんだった。客先から帰ってきて、そのまま私の机の所にきてくれたのだった。そして、机の上にポケットから『イチゴ飴』を取り出して置くとニッコリと笑う。


「ありがとうございます」

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