初恋 二度目の恋…最後の恋

送別会

 小林さんは私の言葉を聞きながら少し考えているようだったけど、その答えを聞く前に高見主任と折戸さんを始め、他の社員も部屋の中に入ってきた。少し広いかなと思っていた部屋だけど、男の人が五人もいるとちょうどいいくらいになっていた。


 一番上座には高見主任と折戸さんが並び、柴田さんと北井さんが並び、幹事をしている私と小林さんが入り口に近いところだった。折戸さんは席に座ると私と小林さんの方を見てニッコリと笑う。


「蒼空。美羽ちゃん。今日はありがとう」


 私は折戸さんの言葉に頭を下げると折戸さんはさっきよりも綺麗な笑顔を私にくれるのだった。私は頑張って幹事の仕事を全うしたいと思ったのだった。飲み物がテーブルに届くと、高見主任は静かに穏やかな声を響かせたのだった。


「来週、折戸がフランス支社に転勤になる。折戸には本当に色々助けて貰ったと思っている。フランスに行っても折戸なら大丈夫だと私は確信している。営業一課で培ったものを遺憾なく発揮して欲しい。それでは折戸の今後の活躍を期待して…乾杯!!」


 高見主任の言葉で折戸さんの送別会は始まったのだった。


 高見主任にとって折戸さんは片腕ともいえる人でそんな折戸さんがフランス支社に転勤になるというのはどれだけの損失になるのだろう。高見主任の言葉で始まった折戸さんの送別会は和やかな雰囲気だった。最初こそ、折戸さんを囲んで色々話をしていたけど、次第にいつものような営業一課の飲み会の色を増していく。



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