初恋 二度目の恋…最後の恋
こう聞かれて困ってしまった。趣味は…と聞かれて答えられるものがない。大学の時からずっと研究をしてきて、休みの日は本を読むか、研究所に行って、資料の整理をしたりしていた。
研究は時間がいくらあっても足りない。実験をしていて、成果が上がるのは極々一部だけ。それ以外は失敗の連続。でも、その仕事が好きだったからこれが趣味と言えるかもしれない。
女の子としては寂しいかもしれないけど、私はそれで幸せだった。でも、今はその研究も無くなってしまった。
ここ数か月は、差し迫った仕事がない日以外はお祖母ちゃんの病院に行って時間を過ごしていた。行く度に弱っていくお祖母ちゃんを見るのは正直厳しい。でも、頑張って生きて欲しいからと思い、必死に皺の刻まれた手を優しく擦る。
「家でゆっくりしていることが多いです。本も読んだりはしますけど、一人暮らしなので、土日は家事をしていることが多いです」
「そうか。確かにな。俺も一人暮らしだから、休みは家事をしているな」
高見主任は深くは聞いて来なかった。それが嬉しかった。
「さ、食事が終わったら帰ろうか?」
「はい」
「デザートは本当にいいのか?」
「はい」
高見主任はニッコリと笑って立ち上がった。
高見主任は何を言っても上手に躱し、私の手からお金を受けとってはくれなかった。小林さんの時のように無理やり手に握らせるということまでは出来ずに…。
私は『ありがとうございます』と頭を下げたのだった。
研究は時間がいくらあっても足りない。実験をしていて、成果が上がるのは極々一部だけ。それ以外は失敗の連続。でも、その仕事が好きだったからこれが趣味と言えるかもしれない。
女の子としては寂しいかもしれないけど、私はそれで幸せだった。でも、今はその研究も無くなってしまった。
ここ数か月は、差し迫った仕事がない日以外はお祖母ちゃんの病院に行って時間を過ごしていた。行く度に弱っていくお祖母ちゃんを見るのは正直厳しい。でも、頑張って生きて欲しいからと思い、必死に皺の刻まれた手を優しく擦る。
「家でゆっくりしていることが多いです。本も読んだりはしますけど、一人暮らしなので、土日は家事をしていることが多いです」
「そうか。確かにな。俺も一人暮らしだから、休みは家事をしているな」
高見主任は深くは聞いて来なかった。それが嬉しかった。
「さ、食事が終わったら帰ろうか?」
「はい」
「デザートは本当にいいのか?」
「はい」
高見主任はニッコリと笑って立ち上がった。
高見主任は何を言っても上手に躱し、私の手からお金を受けとってはくれなかった。小林さんの時のように無理やり手に握らせるということまでは出来ずに…。
私は『ありがとうございます』と頭を下げたのだった。