強引男子にご用心!
「何よ。かまってほしいの?」
逆にからかうつもりで首を傾げたら、
「当たり前だ」
当然のように威張る。
「…………」
み……認めるの?
認めるもの?
ここは素直にならないで欲しいんだけど。
ここを素直に認められたら、私はどうしていいか。
えっと、どうすれば?
「おー……珍しい。戸惑ってんな」
「そうでしょうよ。磯村さんこそ、そんなこと言うなんて珍しいじゃない」
「そうでもない」
ニヤニヤしながら肩に触れられる。
「俺は触るのも好きだしな。機会さえあれば」
「…………」
に、逃げましょうか。
逃げた方がいいな。
決心したら睨まれた。
「逃げんじゃねぇよ」
「普通に引くわよ」
「顔赤いなぁ?」
「あ、当たり前でしょう!」
「いや……あんた本当に俺の事、好きなんだなぁ」
しみじみ言われて、身体中暑くなる。
「ば、ばかじゃないの!?」
「端から見れば、こういう時の男は皆馬鹿だろう」
そんな事を言い合いながら、頭の片隅では、全く違うことを考えている。
磯村さんが、昔からいじめて泣かせていた幼馴染み。
立ち直った磯村さん。
ぎこちない会話。
潔癖症だったの兄嫁さん。
断片をかき集めて、磯村さんを見上げる。
あまり考えたくはないけれど、磯村さんが私を構うようになったのって、潔癖症がバレてから……なんだよね。
潔癖症……。
考えたくない、けど……
私って“誰か”の代わりじゃないよね?