強引男子にご用心!

「だいたい、会社でも俺から話しかける女はあんたくらいだぞ」

「い、意味が解らないけど」

「お前はいつまで俺に、言い訳させ続けるつもりだよ」

「え?」

今のって言い訳?

言い訳……なのかな?

「だいたい、お前がカナミの身代わりとか、あり得ねぇだろうが」

ひど……っ!

「ど、どーせ若くも可愛くもないです!」

「若さも、見た目の可愛さも求めてねえし」

「じゃあ、何を求めてるのよ」

「んー……今は触れ合い?」

ふ、触れ合い?

「なんか、もう、いっそ感動的だよな。潔癖症の女なのに、唯一普通に触っても拒否されねえのって」

「…………は?」

「なんか俺だけの女って感じで逆にありがたいし、俺ってお前に好かれてるの解る」

な、なんか。

すっごい恥ずかしいこと言ってます───────────!

めちゃくちゃ恥ずかしいこと言ってますから!


「さすがに赤くなったか」

「なるでしょうよ! ならないはずがないでしょうよ! バカじゃないの?」

「いや? ちゃんと計画してた」

ニヤリと、それはそれは黒い笑顔を見て瞬きをする。

「計画? 計画って……何を」

「今日は金曜だし。明日は土日で休みだし。触れるのにも慣れてきたようだし。押し倒しても気絶されなかったし?」

「…………ま」

「待たねえよ。待つと時間かかりすぎるの解ったし。覚悟を決めろ」

「き、決まらない、決まらないから。そんな、いきなりは無理」

「そーだなー。最初はきついかも知れねえけど、それもそのうち慣れる」

麦茶のコップを取り上げられ、カツンとガラス張りのローテーブルに置かれる音。

「泣いても叫んでもいいぞ?」

ニッコリと、それはそれは楽しそうな磯村さん。


こ……この。


鬼畜──────!












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