強引男子にご用心!

重なった唇は冷たくて、だけど入り込んでくる舌はとても熱くて。


「……んぅっ!」


絡めとられた舌先に、暴れたら壁に押し付けられる。


柔らかい。


暖かい。


熱い。


息が……


息ができない……


最後に軽く舌を吸われて離れていく唇。


いつの間にか閉じていた目を開いたら、間近に磯村さんの視線。


深い、深い色をした、黒い瞳。


「ああ……やっぱりな」


何がやっぱり?


「あんた、泣き顔かなりクル」


この鬼畜──────!!

思った瞬間に彼を突き飛ばした。

突き飛ばして、走り出す。


逃げなくちゃ……

捕まる前に逃げないと。

何から逃げるのかは解らない。

解らないけど、恐い。

恐いから逃げる。



逃げ込んだ先は、水瀬のいる医務室だった。












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