強引男子にご用心!
その思いが通じたらしい、磯村さんは持ったファイルを振りながら、軽く溜め息をつく。
「まぁ、あんたは潔癖症を人に知られないように生きてて、俺はこの性格知られないように生きてる訳だろ?」
……この性格って、鬼畜な性格?
「社会生活ってのは多数決の世界だからな。少しでも違えば一気につま弾きにあう。拒否もされるし興味半分に近づいてきたり反応は様々だが」
「…………」
驚いてはいけないのかも知れないけれど……。
たぶん、驚いてしまうのは失礼なんだろうけれど。
磯村さんが、真面目な顔をして真面目な話をしている。
「……お前さ」
深い深い溜め息つきで睨まれた。
「はい?」
「かなり解りやすく表情変わるから、バカにしてんのはわかるんだぞ?」
「……すみません。驚いちゃって」
「まぁ、いいけどよ。だいたい俺だって知ってる。自分がいらんこと言うやつだってことも」
うん。
いらない事をって言うか、一言多いって言うか、行動が鬼畜と言うか。
「意地張ってる女を見ると泣かせたいと思うし、たまに壊したいとも思うが」
いやいやいやいや。
それはそれでどうなのか。
と言うか、何故、それを私に語るのか。
「そんな本性さらして生きてける程、世の中甘くはないしな」
「はぁ……」