強引男子にご用心!
「磯村さん?」
「んー?」
コンビニの袋をガサガサさせ、ズボンのポケットに手を入れたまま近づいてくる磯村さん。
「何しに来たんですか?」
「……何しにって言われてもなぁ」
それはそれは胡散臭さ漂う笑顔で、ポケットから何かのキーを取り出す。
「何に見える?」
「何って……鍵でしょ……」
ありきたりの鍵だと思う。
どちらかと言うと、家の鍵。
鍵……。
見たことある様な形状。
どこか、見たことありますが。
見たこと……は、あるかも。
私も持ってるかもしれない。
「磯村さん。最近、こちらにお引っ越しされて来たんでしたよね」
「そう言ったな」
「それって……あの。もしかして」
「最近は、引っ越しの挨拶なんてする風習ねぇからなぁ」
ニヤリと笑って、マンションの自動ドアをくぐり抜ける磯村さん。
「よろしくな。お隣さん」
嘘でしょ─────────!?