強引男子にご用心!
それでいいのよ、それで。
と言うかどうしたのよこの事態。
今まで落ち着いて、どちらかと言うと淡々と仕事ができていたのに、今になってこの感じ。
どうして、こうなったのか、全くわからない。
解らないけど、仕事は待ってくれない。
待ってくれないから頑張るしかないのだけれど……。
「だからって、弁当持参で医務室に昼休憩しにくる人はいないわね」
冷たい水瀬の視線は無視して、使い捨てのお弁当箱を彼女に渡す。
「賄賂よ」
「……しょうがないな~」
笑いながらお弁当を机に置くと、水瀬は自分の分のお茶を淹れる。
「医務室は消毒薬の臭いが強いから、楽しくお弁当ってならないと思うのは私だけかしら?」
「何を言ってるの。これ以上清潔な場所も少ないじゃない」
「そう思うのはあんただけでしょ」
卵焼きを食べながら、お茶を飲む水瀬を見た。
医務室は確かに消毒薬の臭いが染み付いているけれど、水瀬が来る人の為に空気清浄器をつけているのを知っている。
しかも、毎日ちゃんとフィルター掃除しているのも知っている。
会社内で、ここまできれいな場所もないと思うのね。
「でも、本当にどうしたの。いつもは休憩室で食べてるじゃない」
「最近、解らないけど後輩たちが寄ってくるから……」
にこやかに、懐いて来る彼女たちに悪気はないだろうけれど、こちらは気が気じゃない。
ハラハラしながらランチは、食べた気もしなければ、味も解らなくなる。
「よかった……じゃない?」
「私はよくない」