強引男子にご用心!

それでいいのよ、それで。

と言うかどうしたのよこの事態。

今まで落ち着いて、どちらかと言うと淡々と仕事ができていたのに、今になってこの感じ。

どうして、こうなったのか、全くわからない。

解らないけど、仕事は待ってくれない。

待ってくれないから頑張るしかないのだけれど……。







「だからって、弁当持参で医務室に昼休憩しにくる人はいないわね」

冷たい水瀬の視線は無視して、使い捨てのお弁当箱を彼女に渡す。

「賄賂よ」

「……しょうがないな~」

笑いながらお弁当を机に置くと、水瀬は自分の分のお茶を淹れる。

「医務室は消毒薬の臭いが強いから、楽しくお弁当ってならないと思うのは私だけかしら?」

「何を言ってるの。これ以上清潔な場所も少ないじゃない」

「そう思うのはあんただけでしょ」

卵焼きを食べながら、お茶を飲む水瀬を見た。

医務室は確かに消毒薬の臭いが染み付いているけれど、水瀬が来る人の為に空気清浄器をつけているのを知っている。

しかも、毎日ちゃんとフィルター掃除しているのも知っている。

会社内で、ここまできれいな場所もないと思うのね。

「でも、本当にどうしたの。いつもは休憩室で食べてるじゃない」

「最近、解らないけど後輩たちが寄ってくるから……」

にこやかに、懐いて来る彼女たちに悪気はないだろうけれど、こちらは気が気じゃない。

ハラハラしながらランチは、食べた気もしなければ、味も解らなくなる。

「よかった……じゃない?」

「私はよくない」


< 47 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop